主に金属を素材とした動く彫刻作品を制作している。 作品には、13世紀以降の機械式時計に用いられてきた「脱進機（エスケープメント）」の構造を取り入れて いる。時計は本来、効率、生産性を高めるために使用されてきたものだが、私はそれを「スピードを遅くす るための構造」として捉え直す。現代社会が技術の進歩とともに加速し、自然の時間感覚から乖離していくな かで、私は脱進機を時間を減速させる装置として再構築し、効率や生産性を追求する近代以降の価値観に対 する逆説的な批評性を込めて彫刻として提示する。